部下向けのAI研修を進めていると、ほぼ必ず管理職の方から相談を受けます。

「部下は研修を受けて、AIで何か作り始めた。でも自分は触ったことがない。部下が作ったものを、どう評価すればいいのかわからない」

管理職のAI研修は、部下向けの研修と目的が違います。研修の現場で管理職の方から受けた質問に、順番に答えていきます。

Q. 管理職も、部下と同じ研修を受けるべきですか

全部を同じにする必要はありません。ただ、最初の半日だけは同じ体験をしておくことを強くすすめています。

Claude Code(日本語で頼むとAIが業務用の小さな道具を作ってくれるソフト)で小さなツールを1つ作る体験を一度しておくと、部下が「AIで作りました」と持ってきたものが、どのくらいの手間で、どこが難しかったのかを想像できるようになります。部下と同じ2日間の研修を受ける時間はなくても、半日なら取れることが多いはずです。

体験の後に、管理職向けの時間を別に2〜3時間取る。これが私たちのおすすめの形です。

Q. 管理職向けの時間では、何を学ぶのですか

一言で言えば、判断のしかたです。部下がAIで作ったものを見たときに、次の5つを問えるようになることを目標にしています。

1つ目、それは何の作業を、どれだけ減らすのか。2つ目、扱っているデータは、社内のルールで扱ってよいものか。3つ目、間違った結果が出たとき、誰がどうやって気づけるか。4つ目、作った本人が異動したら、誰が直せるか(何をClaude Codeに頼んだかのメモが残っていれば、別の人が同じように頼み直せます)。5つ目、ほかの部署でも使えるものか。

この5つは、プログラミングの知識がなくても問えます。そして、部下がAIで作ったものを業務に入れてよいかを判断するのに、ほぼ足ります。

Q. AIが作ったものの「正しさ」は、どう確かめればいいですか

管理職が自分でプログラムを読む必要はありません。結果を確かめる仕組みがあるかを見ます。

たとえば集計ツールなら、先月の手作業の結果と、ツールの結果が一致するかを、使い始める前に一度比べたか。比べていなければ、比べるように言う。それだけで、大きな事故の多くは防げます。

研修では、実際にわざと間違いを含んだ集計ツールを用意して、管理職の方に「どこで気づけるか」を探してもらう演習をしています。最初は見つけられない方が多く、確かめ方を知ってから気づける方が増えます。

Q. 管理職のAI研修は、全体で何時間くらい必要ですか

目安は合計で半日と少しです。部下と同じ体験に3時間、管理職向けの判断の演習に2〜3時間。1日に収めることもできますが、体験と演習の間に1〜2週間あけて、その間に部下が作ったものを1つ見ておいてもらうと、演習の時間の質が上がります。

管理職のAI研修は、長さより、部下の研修との順番が大事です。部下より先か、少なくとも同じ時期に受けておくと、研修の後の会話がかみ合います。

Q. 部下にAIを使わせるとき、ルールはどこまで決めるべきですか

最低限、扱ってよいデータの範囲と、迷ったときの相談先の2つは、管理職から部下に伝えられる状態にしておいてください。

ルールが無いと、慎重な部下ほど使わなくなり、慎重でない部下ほど危ない使い方をします。会社としてのルールの作り方は、ひな形付きで別の記事にまとめています。

Q. 研修の後、部下にどう声をかければいいですか

「研修で作ったもの、今月の締めで使ってみて」です。

AI研修の効果が続く職場と続かない職場を比べると、上司が研修の成果を業務の中で使うよう促しているかどうかで、差が出ているように感じています。研修が定着しない理由については、別の記事で詳しく書いています。

逆に、言わないほうがいいのは「それ、本当に合ってるの」だけで終わることです。疑うのは正しい。でも、確かめ方まで一緒に示さないと、部下は使うのをやめてしまいます。

Q. 管理職自身がAIで作れるようになる必要はありますか

なくて大丈夫です。管理職のAI研修のゴールは、自分で作ることではなく、部下が作ったものを判断し、組織の中に広げることです。

ただ、半日の体験で一度は作ってみることだけは、くり返しおすすめします。触ったことがある人の「いいね」と、触ったことがない人の「いいね」は、部下にとって重みが違うからです。

当メディアの運営会社の研修では、半日の体験研修を無料で行っています。管理職の方だけで受けていただくこともできます。