「ChatGPTの研修はもう去年やったんです。Claudeの研修って、何か違うんですか」

人事の方から、こう聞かれたことがあります。この記事では、何社かで受けた同じような相談を、1社の話としてまとめています。1年前に全社でChatGPTの研修をした。メールの下書きや議事録の要約には使われている。でも、それ以上には広がっていない。そこで次の一手として、Claudeの研修を検討している、という話でした。

この質問に答えるには、AIの性能を比べるより先に、研修で何を身につけるのかを比べたほうが早いと考えています。

比べるのはAIの賢さではない

最初に誤解を解いておくと、ClaudeとChatGPTのどちらが賢いかは、この比較の本題ではありません。どちらも作っている会社が新しいモデルを次々と出していて、半年もすれば順位が入れ替わります。ClaudeはAnthropic、ChatGPTはOpenAIの製品です。ここでのモデルは、AIの頭脳にあたる部分の版のことです。

研修として違いが出るのは、どの使い方を教えるかです。大きく分けると、チャットの画面で文章をやりとりする使い方と、AIにパソコンの中で作業をさせて道具を作らせる使い方の2つがあります。

ChatGPTの研修として広く行われているのは前者が多く、Claudeの研修、とくにClaude Codeの研修は後者に寄ります。Claudeはチャットで話すAI、Claude Codeは同じAIにパソコンの中で作業をさせる道具です。ただし、OpenAIにもCodexという作らせる側の製品があるように、どちらの会社も両方の使い方ができる製品を持っているので、最終的には研修会社がどちらを教えるかで決まります。ツールそのものの違いは、別の記事で整理しています。

3つの点で並べる

2種類の研修を、目的・時間・研修後に手元に残るもので並べるとこうなります。

比べる点

話す研修(チャット中心)

作らせる研修(Claude Code中心)

目的

文章作成や要約、調べものを速くする

繰り返しの作業を自動化する道具を作る

時間の目安

2〜3時間で一通り

2日間ほどで1つ作り切る

研修後に残るもの

使い方のコツと、プロンプト(AIへの指示文)の例

自分の業務用に作ったツール

つまずく場所

何に使えばいいか浮かばない

パソコンの操作と、AIに触らせるフォルダの決め方

どちらが上ということではありません。目的が違うので、順番に受けるものだと考えています。

話す研修が向いている会社

まだ社内の大半がAIに触ったことがない段階なら、話す研修から入るのが無理のない順番です。

メールの下書き、会議メモの要約、資料の言い回しの直し。どれもすぐに効果が見え、部署を問わず使えます。2〜3時間で全員に一度触ってもらう、という目的には合っています。

一方で、話す研修だけだと「便利な相談相手」で止まりやすいのも事実です。冒頭の人事の方の会社がまさにそうでした。毎月同じ手順で作っている集計表や、システム間のデータの転記は、チャットで文章を作るだけでは減らないからです。

作らせる研修が向いている会社

すでにチャットでの使い方が社内に広がっていて、次は作業そのものを減らしたい。そういう段階の会社には、作らせる研修が向いています。

Claude Codeは、日本語で頼むと、ファイルを読み、プログラムを書き、動かすところまで進めてくれます。研修では、受講者が自分の業務の題材を持ち込み、2日間で1つの道具を作り切ります。研修が終わった翌日から、その道具が仕事の中で動き始めるのが一番の違いです。

ちなみに、2026年8月の人材開発支援助成金の改正では、汎用的なプロンプトの作り方だけを学ぶ研修は対象外と明示されました。業務の題材で組む研修のほうが、制度の面でも説明しやすくなっています。

研修会社に聞いて見分ける

案内ページの名前が「Claude研修」でも「ChatGPT研修」でも、中身はさまざまです。見分けるには、研修会社に次の2つを聞くのが早いです。

1つは、受講者が研修中に自分のパソコンで何を作るのか。答えが「プロンプトの練習」なら話す研修、「業務で使うツール」なら作らせる研修です。

もう1つは、題材を自社の業務から選べるかどうか。選べない研修は、どちらの種類でも翌日に使われにくいと感じています。

私たちの研修でも、最初の1年は話す研修と作らせる研修を1日で詰め込んでいました。結果は、どちらも中途半端。いまは話す研修を受けたことがある方を前提に、作らせる研修だけに絞っています。

冒頭の質問への答え

人事の方には、こう答えました。

「去年の研修で、全員がAIに話しかけるところまでは来ています。次は、何人かが作る側に回る段階です。Claudeの研修を選ぶなら、Claude Codeで自分の業務の道具を作るところまでやる研修を選んでください」

この答えのあと、各部署から数名を選んで作らせる研修を受けてもらう、という形で話が進むことが多いです。当メディアの運営会社でも、プログラミング未経験の社員向けにClaude Codeの研修を行っています。