研修会社の人間が書くと、外注をすすめる記事に見えるかもしれません。先に言っておくと、私は内製で十分な会社も多いと考えています。

実際、研修の相談を受けて話を聞いた結果、「御社なら社内でやったほうがいい」とお伝えしたこともあります。AI研修を内製するか外注するかは、費用より先に、いくつかの条件で決まります。

分かれ目は、社内に教えられる人がいるか

一番大きな条件は、社内にすでにClaude Code(AIに業務用の道具を作らせるソフト)などを業務で使いこなしている人が1人いるかどうかです。

その人が、自分の業務で何かを作り、半年以上使い続けている。この経験がある人は、受講者がどこでつまずくかを知っています。AI研修の内製は、この1人がいるかどうかでほぼ決まると言っていいと思います。

逆に、社内で一番詳しい人でも「ちょっと触ってみた」程度なら、最初の1回は外注したほうが早いです。教える人がつまずきを知らないと、研修の時間の大半がトラブル対応で消えます。

内製が向いている会社

教えられる人が社内にいて、次の条件もそろっていれば、内製で十分です。

まず、教える人が研修の準備に時間を割けること。90分の勉強会でも、題材のファイルや手順書の準備に、その数倍の時間がかかります。上司がその時間を業務として認めているかが大事です。

次に、受講者が少人数で、同じ部署に近いこと。同じ業務をしている人同士なら、題材を共通にでき、研修の後も教え合えます。

内製で勉強会を回す手順は、90分の進行表として別の記事にまとめています。

外注が向いている会社

一方、外注が向いているのは次のような会社です。

社内に教えられる人がいない。複数の部署から一度に受講者を集めたい。助成金を使いたい。この3つのどれかに当てはまるなら、外注を検討する価値があります。

助成金について補足すると、内製でも対象になりえますが、講師の条件が厳しく、書類の手間も大きいです。人材開発支援助成金の事業展開等リスキリング支援コースは、外部の研修会社が行う研修だけが対象というわけではなく、会社が企画・主催する社内の研修(事業内訓練)でも要件を満たせば対象になりえます。ただし、社員が講師を務める場合は、職業訓練指導員免許や、その分野での10年以上の実務経験などの講師要件があり、eラーニングは事業内訓練の対象外です。ただ、訓練の計画や記録を整える手間は、外部の研修会社に任せたほうが小さいのが実情です。制度の要件は別の記事で整理しました。

外注しても、内製の芽は残しておく

外注を選んだ場合でも、私がすすめているのは「次からは内製できるように外注する」ことです。

研修の受講者の中から、社内で教える役になってほしい人を1〜2人決めておきます。その人には、研修の時間割や題材の作り方まで一緒に見てもらう。2回目以降は、その人が講師になり、外部の講師は後ろで支える側に回る。

私自身、研修を請ける側として、最初の研修で「この会社はもう自分たちで回せる」と感じたことが何度かあります。そういう会社は、2回目の依頼が来ないこともあります。それで構わないと思っています。研修のゴールは、社内で作る人を増やすことなので。

内製と外注の比較

ここまでの話を表にまとめるとこうなります。

比べる点

内製

外注

前提

教えられる人が社内に1人いる

社内に教えられる人がいなくてもよい

題材

自社の業務に寄せやすい

研修会社による。事前に確認が必要

費用

教える人の時間が主なコスト

研修費がかかる。助成金を使える場合がある

研修後

社内に相談相手が残る

研修後の相談期間の有無で差が出る

どちらを選んでも、研修の後に使い続けてもらう仕組みは自分たちで作る必要があります。研修が定着しない理由は、別の記事にまとめました。

迷ったら、最初の1回だけ外に頼む

AI研修の内製か外注かで迷ったときの、私の答えはこうです。最初の1回は外注して、その中で社内の講師役を育てる。2回目からは内製に切り替える。

当メディアの運営会社でも、社内で教える人を育てることまでを含めた研修を行っています。半日の体験は無料なので、まず社内の講師候補の方に受けてもらうのも1つの方法です。