研修の休憩中に、受講者の方から聞かれました。

「Haikuって安いほうのモデルですよね。安いってことは、仕事には使えないってことですか」

答えに詰まりました。Haikuは長いあいだ「軽い作業用」という位置づけで、筆者もClaude Codeではほとんど使っていなかったからです。

そこへ2026年10月7日、Claude Haiku 5.5が出ました。モデルの名前は claude-haiku-5-5 です。発表ページを読むと、値段の下がり方が大きく、置き場所を考え直す価値がありそうでした。10月15日時点の公式情報で確かめた内容をまとめます。

問いは「安いモデルを、どこに置けば損をしないか」

先に、この記事で答えたい問いをはっきりさせておきます。

Claude Haiku 5.5は、上位のSonnet 5.5やOpus 5.5の代わりになるのか。ならないなら、どの作業を任せれば全体の費用が下がるのか。この2つです。

モデルの系統を一言で整理すると、Opusがいちばん賢くて高い、Sonnetが中くらい、Haikuが小さくて速くて安い、という並びです。Sonnet 5.5とOpus 5.5の違いは別の記事で比べています。

調べてわかった料金の下がり方

APIの料金(プログラムからClaudeを呼び出すときの従量課金)は、100万トークンあたりでこうなっています。トークンは文章を細かく刻んだ単位です。

項目

Haiku 5.5

Haiku 4.5

Sonnet 5.5

入力

0.10ドル

1.00ドル

2.00ドル

出力

0.50ドル

5.00ドル

10.00ドル

キャッシュ読み込み

0.01ドル

0.10ドル

0.10ドル

Haiku 5.5の数字は、1回に送る文章が10万トークンまでの場合です。10万トークンを超えると入力0.50ドル、出力2.50ドルに上がります。この「長さで単価が変わる」仕組みは見落としやすいので注意してください。キャッシュ読み込みは、前に送ったのと同じ文章を使い回すときの割安な料金です。

公式の説明では、10万トークンまでならHaiku 4.5より90%安く、超えた場合でも50%安いとされています。ただし新しいトークナイザー(文章をトークンに刻む仕組み)を使っていて、同じ作業でもトークン数がやや増えるとも書かれています。単価の比率がそのまま請求額の比率になるわけではありません。

扱える長さは100万トークンです。Claude Codeのバージョン2.1.293の更新履歴に記載があります。

性能はSonnet 5.5に届くのか

届きません。公式の比較表でも、すべての項目でSonnet 5.5が上です。たとえば端末での作業を測るTerminal-Bench 4.0では、Haiku 5.5が39.2%、Sonnet 5.5が70.6%でした。端末は、黒い画面にコマンドを打って操作する場所のことです。

一方でHaiku 4.5と比べると差は大きく、同じTerminal-Bench 4.0で4.5は0.0%でした。前の世代では端末作業にほぼ使えなかったものが、ある程度こなせるようになった、という読み方が妥当だと思います。

もう1つの変化が、考える深さを調整するeffort設定です。深く考えさせるほど答えは丁寧になり、時間と使用量は増えます。Haikuの系統で付いたのは今回が初めてです。

Claude Codeでの置き場所を試して出た答え

Anthropic自身が、Haiku 5.5をSonnet 5.5やOpus 5.5の隣で動く「サブエージェント」として使う前提で説明しています。サブエージェントは、メインの会話から切り出した小さな作業を別のAIに任せる仕組みです。

筆者は手元の作業フォルダで、記事ファイルの中から古い日付を探して一覧にする作業をサブエージェントに任せ、モデルをHaiku 5.5に指定してみました。サブエージェントの設定で使うモデルをhaikuにするだけで、手順は上のリンク先にあります。結果の一覧はSonnetで回したときと同じで、待ち時間は短く感じました。時間は測っていないので体感の話です。

逆に、失敗もしました。設計の判断が要るリファクタリング(動きを変えずにコードを整理する作業)をメインの会話ごとHaiku 5.5に切り替えて頼んだところ、関係ないファイルまで書き換えようとして止めることになりました。発表ページでも、複雑なコーディングは大きいモデル向きとされています。

いまの使い分けはこうしています。

  • 問い合わせメールの分類、議事録の要約、一覧作りのような繰り返し作業はHaiku 5.5のサブエージェントに渡す
  • 設計の判断が入る作業と、メインの会話はSonnet 5.5かOpus 5.5に残す
  • 迷ったら /model で切り替えて、両方で一度ずつ試す

/model コマンドの使い方は別の記事にあります。

料金プランの人が気にすること

Claude Codeを月額のPro、Max、Teamで使っている人は、トークン単価を直接払うわけではありません。それでも、使用量の上限に対する消費が軽いモデルを混ぜれば、上限に届くまでの距離は延びるはずです。どのくらい延びるかは公式に数字がないので、ここは推測です。

もう1点、MaxとTeamの契約者には毎月のAPIクレジット(プログラムからClaudeを呼び出すときに使える無料の枠)が付きます。個人向けのMaxは、5倍プランで100ドル、20倍プランで200ドルです。

会社向けのTeamは最大500ドルで、組織でまとめて使う枠です。Teamの500ドルは上限で、ヘルプセンターではTeamの席の種類(StandardとPremium)ごとに、1席20ドルと100ドルを足し合わせた額です。ただし、MaxとTeamのどちらのクレジットも、ターミナルやデスクトップアプリなどで対話しながら使うClaude Codeには使えず、使用量の上限を超えたときの追加利用にも回せません。社内でHaiku 5.5を組み込んだ小さな仕組みを作る、といった使い道のための枠と読むのがよさそうです。

残った疑問

調べても答えが出なかったのは2つです。月額プランの使用量の上限に対して、Haiku 5.5がSonnet 5.5の何分の1の重さで数えられるのか。AWS、Google Cloud、Microsoft Azureでの提供がそろって始まっているのか。後者は、各クラウドの個別ページまでは確かめきれていません。

冒頭の受講者の方には「安いのは役割が違うから。下ごしらえ担当です」と答えました。Claude Haiku 5.5は、メインの席に座らせるより、裏で数をこなす席に置いたときに一番効くモデルです。