議事録をAIに作らせるとき、こんな段取りを踏んでいませんか。
まず下書きを作らせる。次に「決定事項の抜けがないか」「数字や日付の間違いがないか」を別の目でチェックさせる。指摘をもとに直させる。もう一度チェックさせる。
この往復を毎回手で回すのは、地味に疲れます。2026年9月30日にKiroへ入ったWorkflowsは、こうした段取りを「レシピ」として書いておき、あとはAIたちに回させる機能です。10月8日時点の公式ブログとドキュメントをもとに、使い始めるまでを順に書きます。
Kiroとは何か
Kiro(キロ)は、AWS(Amazonのクラウドサービス部門)が出しているAI開発ツールです。パソコンに入れて使うエディタ版のほか、ターミナル(文字でコンピューターに命令する黒い画面)で動くCLI版、ブラウザで使うWeb版があります。この記事は、Kiroを入れてアカウントを作ってある前提で進めます。
Claude Codeとの違いは別の記事で比べています。
Kiro Workflowsは何をするのか
Kiro Workflowsでは、1つの大きな仕事をステップに分け、ステップごとに別のエージェント(指示を受けて自分で作業を進めるAI)が新しい会話で担当します。前のステップの会話を引きずらないので、それぞれが自分の役目だけに集中できます。
ステップの間で渡すのは会話ではなく成果物です。議事録の例なら、下書きのファイルをチェック役に渡し、チェック結果のファイルを直し役に渡す、というイメージです。
公式ブログの例は開発の話で、ざっくり言えば「計画、作る、複数でチェック、合格しなければ作り直し、最後に提出」という6段の流れでした。議事録の段取りと形は同じです。
手順1 設定でWorkflowsをオンにする
Workflowsは最初はオフで、使う画面ごとにオンにします。
エディタ版では、プロジェクトのWorkspace Configurationを開いてWorkflowsを選び、有効にします(内部では kiroAgent.workflows.enabled という設定が変わりますが、自分で打ち込む必要はありません)。有効にしたら、新しいチャットを開き直してください。開いたままのチャットには反映されません。
CLI版とWeb版は入り方が違うので、手順2で触れます。設定に項目が出てこない場合は、そのアカウントではまだ提供されていない、とドキュメントには書かれています。
手順2 同梱のレシピをそのまま走らせる
最初から自分でレシピを作る必要はありません。3つ同梱されています。
investigateはリポジトリ(コード一式の保管場所)を読むだけで、出典付きの調査レポートを作るfeature-pipelineは要件決め、設計、作る、チェックを段階を踏んで進めるpublish-prは変更の提出依頼(PR)を作り、付いたコメントへの対応まで受け持つ
いちばん安全なのは investigate です。何も書き換えないので、失敗しても元に戻す手間がありません。
起動の仕方は画面ごとに違います。エディタ版はチャットで頼むだけ。CLI版は、ターミナルでKiro CLIを起動し、その入力欄に /workflow run と打つと始まり、全画面で進み具合を見られます。Web版はクラウド上のセッション(AIとの1回分の会話のまとまり)の中で頼む形で、各ステップにメッセージも送れます。
手順3 並列と繰り返しを入れたレシピを作らせる
自分のレシピはKiroに頼んで作らせるのが基本です。中身はJSONかYAML(どちらも設定を書くための決まった書式)で出てきますが、書式を覚える必要はありません。
組み立てに使える部品は主に3つです。
並列 は、同時に進められる作業をまとめて走らせます。たとえば議事録を「抜け漏れ担当」と「数字担当」の2人に同時に見せ、両方の結果を合わせて判断する。
繰り返し は、条件を満たすまで同じ段取りを回します。「チェック結果のファイルに『承認』と書かれたら終わり」のように決め、回しすぎないよう回数の上限も付けられます。
待機 は、別のシステムの処理が終わるのを待つ部品です。待っている間はAIの処理量を使いません。
私はClaude Codeで、この「チェックして、直して、またチェック」を手で3往復させていた時期があります。2往復目あたりで、前の指摘を踏まえたのか分からなくなるのが悩みでした。段ごとに新しい会話で動き、成果物だけを渡す作りは、あの混乱を解きにいく設計に見えます。
途中で止める・口を出す
任せきりにする必要はありません。各ステップの会話は実行中も開いたままで、一時停止、再開、方向修正ができます。終わったあとに特定のステップへ戻り、「なぜこう判断したのか」と質問することもできます。
はじめは、繰り返しの1周目が終わったところで一度止めて中身を見るのが無難です。終わりの条件が甘いと、思ったより多く回ります。
クレジットの減り方を見積もる
Kiro Workflows専用の料金はありません。各ステップのAIが働いた分だけ、通常どおりクレジットが減ります。公式ドキュメントも、複数のAIを動かしてチェックを繰り返すので1回の会話より多く使うと書いています。
プラン | 月額 | 月のクレジット |
|---|---|---|
Free | 0ドル | 50 |
Pro | 20ドル | 1,000 |
Pro+ | 40ドル | 2,000 |
Pro Max | 100ドル | 5,000 |
Power | 200ドル | 10,000 |
10月8日時点の料金です。有料プランは1クレジット0.04ドルで買い足せ、月の枠は翌月に繰り越されません。
チェック役を2人並べて3周させれば、チェックだけで6回分の会話です。Freeの50クレジットで大きなレシピを回すのは厳しいと見ておいたほうがいいでしょう。まず investigate で1回あたりの減り方を確かめてから進むのをおすすめします。
Claude Codeを使っている人はどう考えるか
複数のAIを順番や同時に動かす考え方は、Claude Codeにもあります。
Kiro Workflowsの特徴は、段取りをレシピという1つのファイルに残し、何度でも同じ手順を再現できるところです。毎週の議事録、月次の報告書のように同じ段取りを繰り返す仕事ならレシピにする価値があります。その場で考えながら進める作業は、ふつうのチャットのほうが向いています。





