「Devinが最大70%値下げ」という見出しを見て、私は最初、請求が7割減るのかと読みました。
実際はもう少し細かい話です。Devinを作っているCognitionが2026年9月28日に出した発表を、10月8日時点の公式情報と照らし合わせ、Devinの料金がどう変わったのかを問いの形で整理します。
Devinは、指示を渡すと自分の作業用マシンでコードを書き、正しく動くか確かめ、PR(プルリクエスト。コードの変更を取り込んでもらうための依頼)まで出してくれるAI開発エージェントです。Claude CodeやOpenAIのCodexと同じ種類の道具です。
Q. 最大70%というのは何の数字か
Devin Reviewの数字です。 Devin Reviewは、PRの中身をDevinに読ませて問題点を指摘させるレビュー機能のこと。ここが最大70%安くなりました。
コードを書く本体のほうは、下げ幅がモードごとに違います。
対象 | 下げ幅(公式発表) |
|---|---|
Devin Review | 最大70% |
Fusionモード | 30〜40% |
Normalモード | 30〜40% |
Ultraモード | 15〜20% |
発表のタイトル自体も「最大40%コスト効率が上がった」です。ふだんDevinにコードを書かせている人の目安は、70%ではなく30〜40%と読むのが正確です。
Q. Fusion・Normal・Ultraは何が違うのか
使うAIモデル(AIの頭脳にあたる部分。賢いものほど料金が高い)の組み合わせが違います。
Ultraは最も賢いモデルを使う設定です。9月23日のリリースノートには「Fable 5.1とGPT-6 Astraによる最高水準の知能」とあります。Fable 5.1はAnthropic、GPT-6 AstraはOpenAIのモデルです。性能優先なので、下げ幅も15〜20%と小さめです。
Fusionは、2つのモデルに役割を分けるやり方。計画や難しい判断は高くて賢いモデル(リード)が受け持ち、コードを書いたり動作を確かめたりする手作業は安いモデル(サイドキック)に任せます。公式ドキュメントの推奨はFable 5.1(賢い方)とDevin自社製のSWE-2(安い方)の組み合わせ。作業の多くを安いほうが担うので、高いモデル単体より費用が下がります。
Normalはその中間で、複数のモデルから選ぶ標準の設定です。
Q. 現行の料金プランはどうなっているか
10月8日時点で、申し込みだけで使えるプランは4つです。
プラン | 月額(税抜) | 主な中身 |
|---|---|---|
Free | 0ドル | 少なめの利用枠、使えるモデルに制限あり |
Pro | 20ドル | 枠が増え、主要各社の最先端モデルを使える |
Max | 200ドル | Proよりずっと大きい枠 |
Teams | 基本料80ドル + 1席40ドル | 最大200人 |
Teamsは基本料に人数分の席料が上乗せされます。たとえば3人なら80+40×3で月200ドルです。Enterpriseは個別見積もり。
ProとTeamsの利用枠は「1日あたり」と「1週間あたり」の2段で、暦に合わせて自動で戻ります。1日の枠は週の7分の1より多めで、週末に作業が偏っても止まりにくい作りです。Maxは週の枠だけで、1日の上限はありません。
Q. 値下げは自分の請求にどう効くのか
ここは公式の発表がはっきりしていません。
ブログには「今日からより効率的なDevinが使える」とあるだけで、月額が変わるという書き方ではありません。同じ作業で消費する量が減る、つまり同じ月額で進められる作業が増えると読むのが自然です。
枠を使い切ったあとは、必要な分だけクレジットを買い足します。公式ドキュメントでは、このクレジットは以前のACU(Devinの作業量を測る単位)と同じ金額の価値で、期限はないと説明されています。枠を超えて使う人ほど、今回の値下げがお金として見えやすいはずです。
私は以前、別のAI開発ツールの「値下げ」告知を見て、喜んで月の費用を計算し直したことがあります。あとで読み返したら対象は一部の機能だけで、自分の使い方にはほとんど関係がありませんでした。それ以来、下げ幅がどの機能の数字なのかを先に見るようにしています。
Q. 自分が使ったら月いくらになるか
公式は枠の大きさを数字で出していないので、あくまで筆者の目安です。社内の小さなツールを1本作らせて何度か直す、という使い方なら、まずFreeで枠に収まるか試すのが順当です。週に何度もDevinに作業を頼むならPro(月20ドル)、毎日何時間も任せきりにするならMax(月200ドル)が候補になります。参考までに、Fusionは同社が性能を測る試験で、1タスクあたり平均0.60ドルだったと発表しています。月額に加えて、枠を超えた分のクレジットが上乗せされると考えてください。
Q. なぜここまで下げられたのか
公式ブログは理由を3つ挙げています。
1つ目は新しいモデルへの切り替えです。SWE-2に加えて、Anthropic(Claudeの開発元)のOpus 5.5、OpenAIのGPT-6 Sol・Astra・Lunaを組み込みました。Opus 5.5はキャッシュ(一度読んだ内容を取っておき、読み直さずに使い回す仕組み)の読み込み単価がOpus 5より60%安く、GPT-6のSolとLunaも前の世代の半分になった、と書かれています。
2つ目は、AIが作業の途中で使う道具の呼び出しをまとめたこと。コードの見た目を整える、書き間違いを探す、動作を確かめる、を1つずつではなく1回で頼むようにしました。ブログの例では4往復が2往復になり、送るトークン(AIが文章を処理する単位)が49%減っています。
3つ目はキャッシュの使い方の改善です。例に挙がったセッションでは、最初から処理し直すトークンが71%減ったとあります。
Q. 他のツールと比べてどう考えればよいか
Devinの料金は、月額の定額部分と、枠を超えた分のクレジットの二本立てです。この形はCodexのクレジット課金とよく似ています。
Claude Codeのように、月額プランの中で5時間ごとの利用上限が決まっている方式とは考え方が少し違います。どれが安いかは、1日に何時間動かすかで変わります。
Devinの料金を見るときは、月額より先に「自分がどのモードを主に使うか」を決めておくと、今回の値下げがどれくらい効くかを見積もりやすくなります。





