Claude Codeを非エンジニアの方に使ってもらうと、つまずく場所はだいたい決まっています。

この記事は、研修で何人もの受講者の最初の数日を横で見てきた記録を、1人の5日間にまとめ直したものです。登場する「Aさん」は、営業事務を10年続けてきて、プログラミングは一度も書いたことがない、という人物像で書いています。特定の誰かではなく、何人分かのつまずきを重ねた合成です。

Claude Codeそのものの説明は別の記事にあるので、ここでは「最初の5日間に何が起きるか」に絞ります。

1日目 黒い画面を開くまでが一番長い

Aさんが最初に止まったのは、Claude Codeを起動する前でした。

「ターミナルってどこにあるんですか」

ターミナルは、文字でパソコンに指示を出すための画面です。Macなら「ターミナル」というアプリ、Windowsなら「PowerShell」や「ターミナル」というアプリがそれにあたります。普段の仕事で開くことはまずありません。

公式サイトに書かれたインストール用のコマンドを1行貼り付けて実行し、claude と打って起動する。手順にすれば3つですが、Aさんはこの日、ここで1時間を使いました。コマンドを貼る場所を間違えたり、終わったのかどうかわからず待ち続けたりしたからです。

公式のドキュメントには、ターミナルを使ったことがない人向けのガイドもあります。最初の日はこれを横に開いておくと迷いが減ります。

ターミナルを使わずに始めたいなら、デスクトップアプリから入る手もあります。アプリは公式サイトからダウンロードできます。ただ研修では、あえてターミナルから入ってもらっています。2日目以降、ファイルの場所の話が出てきたときに、そのほうが理解が早いからです。

2日目 「どのフォルダで起動したか」で話が変わる

2日目、Aさんは「先月の売上のExcelを集計して」と頼みました。返ってきたのは「そのファイルが見つかりません」。

原因は、Claude Codeを起動した場所でした。Claude Codeは、起動したフォルダの中を作業場所として見ます。たとえば、デスクトップにあるファイルを、「書類(ドキュメント)」のフォルダで起動したClaude Codeに頼んでも、見つけられません。隣のフォルダは作業場所の外だからです。

ここで教えたのは1つだけです。作業用のフォルダを1つ作って、扱うファイルを全部そこに入れる。そのフォルダに移動してから起動する。移動は、ターミナルで cd と打ったあと、フォルダをターミナルの画面にドラッグしてEnterを押すだけです。

この「作業場所を決める」感覚がつかめると、Claude Codeを非エンジニアが使う上での壁が1枚はがれます。私自身、最初のころはホームのフォルダ(デスクトップや書類を全部含む、自分用のいちばん上のフォルダ)で起動して、関係ないファイルまで読まれそうになり、慌てて止めたことがあります。

3日目 許可の確認画面が怖い

3日目は「これ押して大丈夫ですか」の連続でした。

Claude Codeは、ファイルを書き換えたりコマンドを実行したりする前に、許可を求めてきます。英語交じりの確認画面が出て、毎回手が止まる。慣れるまでは怖いと感じるのが普通です。

伝えたのは、読む順番です。何のファイルを、どう変えようとしているのか。そこだけ読んで、心当たりがあれば許可する。わからなければ「今なにをしようとしているか日本語で説明して」と聞き返す。聞き返していいとわかった瞬間、Aさんの手が動くようになりました。

許可の仕組みと、毎回聞かれないようにする設定は、こちらで詳しく書いています。

4日目 頼み方を「結果の形」で伝える

4日目、Aさんの依頼文が変わりました。

「集計して」だったのが、「担当者ごとに売上を合計して、多い順に並べた表を、新しいExcelファイルで作って」になった。欲しい結果の形を先に言うと、やり直しの回数が目に見えて減ります。

非エンジニアの方がClaude Codeで成果を出せるかどうかは、プログラミングの知識ではなく、この「結果の形を言葉にする力」で決まると感じています。普段から上司に報告書の体裁を説明している人ほど、ここは早いです。

5日目 小さな道具が1つ残る

5日目の終わりに、Aさんの作業フォルダには「月末に毎回やっていた転記を、ボタン1つで終わらせるスクリプト」が残りました。スクリプトは、決まった手順をまとめて実行してくれる小さなプログラムです。

すごいものではありません。それでも本人は、「自分で作ったものが動いた」と何度も実行していました。この体験が、6日目以降も使い続けるかどうかを分けます。

最初の30分でやることに絞った手順は、別の記事にまとめています。

振り返ると、壁はプログラミングではなかった

5日間を通して、Aさんが止まった場所を並べ直すとこうなります。

  • ターミナルの開き方
  • 起動するフォルダの選び方
  • 許可の確認画面の読み方
  • 欲しい結果の伝え方

どれも、コードを書く力とは関係がありません。Claude Codeを使う非エンジニアにとって、最初の壁は「パソコンの中の場所」と「AIへの頼み方」です。ここを越えれば、あとは使いながら覚えていけます。

1人で5日間を乗り切るのが不安なら、隣で一緒に手を動かす研修という形もあります。当メディアの運営会社でも、プログラミング未経験の方向けに企業研修を行っています。