GMOインターネットの「お名前.com デスクトップクラウド」(FXの取引ソフトを24時間動かすために借りる、インターネット上のWindowsのパソコン)への不正アクセスは、攻撃者が予告した10月27日正午を境に、局面が変わりました。このサービスでは、利用者のFXの取引口座で、身に覚えのない取引が行われたという報告が相次いでいます。

正午までの経緯は、別の記事に時系列でまとめています。この記事はその続きで、GMOの第10報から第14報で何が起きたかを整理します。10月29日時点の情報です。

正午のあとに起きたこと(10月27日)

  • 12時30分 攻撃者とみられる者が、GMOと利用者に関する情報と称するものを公開したことをGMOが確認
  • 13時55分 第10報。公開を知らせ、内容には事実と異なるものが含まれるおそれがあると注意。ランサムウェア(データを使えなくして身代金を求めるウイルス)による攻撃は、この時点で確認されていないと報告
  • 14時55分 第11報。公開された情報を見に行かないこと、転載や拡散をしないことを強く求め、悪質な拡散には法的措置の準備を進めていると表明。報道機関にも、二次被害を招く過度な報道を控えるよう求める
  • 19時10分 第12報。情報が公開された利用者への「特別お見舞金」と、犯人につながる情報への「懸賞金」を発表

第10報は、公開されたサイトにアクセスした人の情報は攻撃者に取られている、とも書いています。見に行くこと自体が危ない、という警告です。

特別お見舞金と懸賞金(10月27日夜)

第12報の特別お見舞金は、公開された情報の種類ごとに払う仕組みです。氏名や連絡先などは1万円、取引口座のIDやパスワードなどは1万5,000円、機微な情報は2万5,000円で、1つの公開につき上限300万円としています。第4報の一律5,000円や、不正な取引の損失の補償とは別です。利用者が自分で申し込むものではなく、対象の利用者にはGMOから個別に連絡が来る形です。

懸賞金は「GMOサイバー犯罪撲滅・懸賞金」という名前で、総額の上限は100万米ドル(GMOの参考値で、1ドル150円の換算で約1億5,000万円)です。1人あたりではなく、制度全体の上限です。

犯人サイトの停止(10月28日)

  • 4時ごろ 犯人サイトのドメイン(インターネット上の住所)が止められたことを確認。ミラーサイト(同じ中身の複製のサイト)も含む
  • 11時 第13報。停止を報告し、新しいサイトが作られたらすぐに止めると表明。X(旧Twitter)でリンクを広める投稿にも、通報や法的措置で臨むとした
  • 12時 懸賞金の受付を開始
  • 18時20分 第14報。受付開始から6時間で113件の情報が寄せられたと公表。Xで拡散している人には、累計20件の警告の連絡をしたと報告

日経新聞によると、GMOインターネットグループの株価は、26日に16%下げたあと、28日の午後にはサイトの停止を受けて一時8%近く上がりました。

手元のパソコンはどうだったか

利用者が気にしていた手元のパソコンについて、第14報は、GMOが利用者から預かって調べたパソコンでは、今のところマルウェア(悪意のあるプログラム)の感染やランサムウェアの攻撃の痕跡は確認されていない、としています。そのうえで、パソコンを使い直す前に、ウイルスの検査とバックアップを求めています。

国と金融の動き

金融庁は22日に業界団体を通じてFX会社に注意を促しており、27日には片山さつき金融相が、国内のFX会社5社から不正な取引の報告があったと明らかにしました。報道によると、警視庁も不正アクセス禁止法違反の疑いで捜査を始めています。GMOが24日に求めた能動的サイバー防御(国が攻撃者のサーバーなどに対処して攻撃を止める仕組み)の適用については、10月29日時点で、政府が措置をとったという発表は確認できていません。

まだわかっていないこと

侵入の経路、持ち出された情報の全体の件数、不正な取引の被害額は、第14報の時点でも公表されていません。補償の申請方法は11月6日まで、止まっているデスクトップクラウドに代わるサービスの案内は10月30日までに知らせるとされています。侵入の経路がわからないうちは、同じ穴がふさがったかどうかも外からは判断できません。だから、パソコンを使い直す前に検査を、という順番になります。

私は第1報から毎日GMOの発表を読んできましたが、27日の午後から28日にかけての1日半は、1つの報が出るたびに局面が変わり、追うだけで精一杯でした。利用者の方はなおさらだと思います。新しい報が出たら、まず公式のお知らせ一覧を見てください。