「お名前.com デスクトップクラウド」(FXの取引ソフトを24時間動かすために借りる、インターネット上のWindowsのパソコン)への不正アクセスで、もっとも直接お金の被害につながったのは、利用者の取引口座の不正な操作でした。デスクトップクラウドの中では、FX(外国為替証拠金取引)の取引ソフトが取引口座にログインしたまま動いていたからです。つまり、そのパソコンに入り込めた人は、パスワードを知らなくても、本人と同じように注文を出せる状態でした。
被害はGMOの中だけでは止まらず、利用者が口座を持つFX会社や、金融庁も動きました。この記事では、FX会社と金融庁の側で何が行われたかを整理します。10月29日時点の情報です。
金融庁の通知(10月22日)
金融庁は10月22日、業界団体の金融先物取引業協会を通じて、FX会社に通知を出しました。報道によると、利用者にパスワードの変更と、身に覚えのない取引がないかの確認を求めること、不審な取引の監視を強めることが中身です。
5社から不正取引の報告(10月27日)
10月27日の閣議後の会見で、片山さつき金融相は、国内のFX会社5社から不正な取引の報告があったと明らかにしました。朝日新聞の報道によると、報告したのはゴールデンウェイ・ジャパン、OANDA証券、アヴァトレード・ジャパン、外為ファイネスト、デューカスコピー・ジャパンです。
各社は不正な注文を止め、対象の利用者のパスワードを初期化するなどの対応をとり、その後の新たな被害の報告はないとされています。被害の額は公表されていません。
FX会社の側でできたこと
デスクトップクラウドも、VPS(インターネット上に借りる自分専用のパソコン)の一種です。利用者がVPSの中でログインしたままにしている限り、FX会社から見ると、不正な注文も本人の注文と同じ経路でやって来ます。それでも、FX会社の側でとれる手があります。
- ログイン中のすべての接続を、会社の側から切る
- パスワードを初期化して、利用者に新しく設定し直してもらう
- 普段と違う注文の仕方を監視し、怪しい注文を止める(たとえば、いつもは少額の人が急に大きな注文を出す、見慣れない場所からログインして注文する、といった動き)
- 利用者に、取引の内容を確かめるよう呼びかける
GMOが3回目のお知らせ(第3報)で利用者に頼んだ「全セッションの切断」(今ログインしている状態をすべて切って、ログインし直させること)は、このうち1つ目を利用者の側から頼むものでした。
海外のFX会社も告知を出した
国内の5社のほかにも、海外に拠点を置くFX会社が、日本の利用者向けに相次いで注意を出しました。セキュリティの専門家のpiyokango氏のまとめには、XMTradingやTitan FXなどの名前が並んでいます。金融庁の通知は業界団体を通じたもので、主に国内の登録業者(金融庁に登録して、日本でFXを扱っている会社)に向けたものなので、海外の業者を使っている人は、その会社の告知を自分で確かめる必要があります。
利用者が自分の口座で確かめること
デスクトップクラウドを使っていた人も、使っていなかった人も、FXの口座を持っているなら、この機会に次を確かめておくと安心です。
- 取引の履歴に、身に覚えのない注文がないか
- 出金先の口座が書き換えられていないか
- マイページに多要素認証(パスワードに加えて確認コードを求める仕組み)をかけているか
- 約定(注文の成立)の通知をメールやアプリで受け取る設定になっているか
私もFXの口座ではありませんが、証券口座の通知の設定を見直したら、約定の通知がオフになっていました。何かあったときに気づく手段は、自分で用意しておかないとありません。
損失が出ていたら
不正な取引で損失が出ていた場合、GMOは実際に生じた損失(取引の差損や手数料)を補償するとしています。相場の変動による損失や、得られたはずの利益は対象外です。FX会社にも取り消しや返金を相談し、返金があればその分は差し引かれます。申請の方法は11月6日までに知らせるとされています。
VPSで自動売買を続けるときの決めごとは、別の記事にまとめました。





