「Claude Codeに任せると、全部やってくれるのはいいんですけど、自分が何も覚えないのが怖くて」
研修の2日目、システム部門から参加していた若手の方がこう言いました。AIが書いたコードをそのまま使い続けると、いざ直すときに手も足も出ない。同じ不安は、私も使い始めたころに持っていました。
そこで紹介したのが、Claude Codeの学習モードです。コードを書いたことがない人でも、Claudeに選択肢を聞き返しながら進められます。この記事は、そのときの会話を軸に進めます。内容は2026年10月15日時点の公式ドキュメントで確かめています。
「学習モードって、学習させないって意味ですか」
最初に返ってきたのがこの質問でした。名前が似ているので、混同する人は多いです。
Claude Codeの学習モードは、AIの答え方を「教える」寄りに変える設定です。入力した内容をAIの学習に使わせない、という設定とはまったく別物です。そちらが知りたい場合は、こちらの記事を読んでください。
学習モードの正体は、出力スタイル(output style)という機能の1つです。出力スタイルは、セッション(Claude Codeを起動してから閉じるまでの一連のやり取り)全体を通して、Claudeの役割や話し方、答えの形を変える仕組みです。
「具体的に、何が変わるんですか」
標準の状態に加えて、公式には4つの出力スタイルが用意されています。
スタイル | 変わること |
|---|---|
Proactive | 細かい確認をせず、妥当な前提を置いてすぐ作業を始める |
Concise | 前置きや振り返りを省いて、結果から短く答える |
Explanatory | 書いたコードの判断理由を、短い解説として添える |
Learning | 解説を添えたうえで、要所のコードを人に書かせる |
学習モードにあたるのが、表の一番下のLearningです。
Learningでは、Claudeは定型的な部分を自分で書き進めます。そして、「表に空の行が混じっていたらどう扱うか」のような、正解が1つではない判断が入る箇所に来ると、そこを人に任せます。ファイルの中に「TODO(human)」という目印を残し、何ができていて、何を書けばよくて、何を考えてほしいかを説明して、手を止めて待ちます。
書き終えて伝えると、書いたコードについて短い解説を返し、続きの作業に戻ります。
「どうやって切り替えるんですか」
一番早いのは、Claude Codeの中でコマンドを打つ方法です。
/output-style learning
learning の部分を付けずに /output-style とだけ打つと、選べるスタイルの一覧が出ます。/config を開いて「Output style」から選ぶこともできます。
選んだ内容は、Claude Codeを起動したフォルダの中の .claude という隠しフォルダにある settings.local.json に保存されます。コマンドで切り替えるなら、この段落は読み飛ばして構いません。設定ファイルに直接書く場合は、名前の大文字小文字を正確に「Learning」と書く必要があります。「learning」と小文字で書くと標準のスタイルに戻ってしまうと、公式ドキュメントに注意書きがあります。コマンドで切り替える場合は大文字小文字を気にしなくて大丈夫です。
似た機能にCLAUDE.mdがありますが、役割は違います。CLAUDE.mdは「このプロジェクトについて知っておいてほしいこと」を書く場所で、出力スタイルは「どう答えてほしいか」を決める場所です。両方を同時に使えます。
「書けなかったらどうなるんですか」
これは実際に試してもらいました。
その方は、CSV(値をカンマで区切った表のファイル)を読み込んで集計する小さなスクリプト(決まった処理をまとめた小さなプログラム)を題材にしました。学習モードに切り替えて依頼すると、ファイルの読み込みや出力の部分はClaudeが書き、「空の行が混じっていたときにどう扱うか」の判断だけがTODO(human)として残されました。
最初の10分、その方は書けずに固まっていました。私が横から「わからないなら、わからないと書いて返していいですよ」と伝えると、Claudeに「選択肢を教えて」と聞き返し、示された2つの方針から1つを選んで、数行を自分で書き上げました。
正直なところ、時間は任せきりの倍かかります。でも、その日の終わりに「この行が何をしているか、自分で説明できる」と言っていたのが印象に残っています。
「ずっと学習モードでいいですか」
おすすめしません。公式ドキュメントにも、ExplanatoryとLearningは答えが長くなるぶん、使うトークン(AIが処理する文章の単位)が増えると書かれています。月額プランなら使用量の上限に早く近づきます。
私は使い分けをこう伝えています。
- 新しい種類の作業を覚えたいときだけLearningにする
- 他人のコードを読み解きたいときはExplanatoryにする
- 慣れた作業はConciseか標準に戻して速く進める
もう1点は、サブエージェントを使っていなければ気にしなくてよい話です。出力スタイルが効くのは基本的にメインの会話です。サブエージェント(作業を切り出して任せる別のAI)は自分の指示で動くので、学習モードにしても多くのサブエージェントの答え方は変わりません。例外は、会話をまるごと引き継いで枝分かれさせるforkで、こちらには出力スタイルも引き継がれます。
任せる力と、読める力を両方残す
Claude Codeの学習モードは、AIに任せる速さと、自分で読める力の両方を残したい人のための設定です。全部を学習モードでやる必要はありません。1日に1つ、TODO(human)を自分で埋めるだけでも、半年後に直せるコードの量は変わってくると思います。
研修では、2日目の午後にこの学習モードを入れるようにしました。初日に「任せる」感覚を覚えてから、2日目に「自分でも書く」に進む順番が、いちばん抵抗が少なかったからです。


