Microsoftが2026年9月25日、Microsoft 365 Copilotの新しい形として「Home」「Code」「Autopilot」の3つを発表しました。
研修先の情報システム部門から、発表の翌週にさっそく質問が来ました。「うちの営業がCopilotで勝手にアプリを作り始めたら、請求はどうなるんですか」。いい質問だと思ったので、届いた質問に答える形でまとめます。10月8日時点の公式発表に基づいています。
Q1 そもそも3つは何が違うのか
役割で分けると覚えやすいです。
Home はCopilotを開いたときの最初の画面です。会話する「Chat」と、仕事を丸ごと任せて完成品を返してもらう「Cowork」が1か所にまとまり、Word、Excel、PowerPointもこの中から使えます。
Code はプログラミングを知らない人が、文章で説明するだけで業務アプリを作る機能です。
Autopilot は名前と役割と目的を渡すと、自分で動き続けるエージェント(指示を受けて自分で手を動かすAI)です。Microsoftは「デジタルのチームメイト」と呼んでいます。
この記事で主に扱うのはCodeとCopilot Autopilotの2つです。
Q2 Codeでは何が作れるのか
公式の言い方では「アプリ、管理表、ダッシュボード、自動化、ワークフロー」を自然な言葉で説明すると作ってくれる、とあります。作ったものはデスクトップに常駐する小さな画面(ウィジェット)や、操作できるダッシュボードとして使えます。
裏側はGitHub Copilotの技術で、エンジニア向けのAIのコード生成を非エンジニアの画面に持ってきたものです。
たとえば経理の佐藤さんが「取引先ごとの未入金を一覧にして、期日を過ぎたら赤くする表を作って」と頼む。そういう使い方を想定した機能です。
ここは私たちのメディアが扱ってきたバイブコーディング(AIに文章で頼んでコードを書かせる作り方)とほぼ同じ発想です。違うのは、作ったものが会社のMicrosoft環境の中に閉じている点です。
Q3 勝手に作られたアプリは安全なのか
作ったアプリは、外から切り離された隔離環境(サンドボックス)で動き、自社のテナント(会社ごとに分けられたMicrosoft 365の契約環境)の中で公開できると書かれています。管理はMicrosoft Copilot Managed Runtimeという仕組みで、IT部門が統制できる形です。
公式の表現は「ITが統制し、ほかの人には簡単に」。少なくとも、社員が個人で外部の無料サービスに業務データを流し込んで作るより、管理部門から見える場所で作ってもらうほうが把握しやすいのは確かです。
ただし、どこまで細かく制限できるかは発表時点では詳しく書かれていません。導入前に管理画面で確認する前提で考えてください。
Q4 Copilot Autopilotはいつから、何をしてくれるのか
Copilot Autopilotは、繰り返し発生する仕事を任せる想定です。例として「仕入先の評価プロセスを立ち上げて、最後まで管理する」が挙がっています。
クラウドで動くので、こちらが寝ていても別の仕事をしていても作業を続けます。TeamsやOutlookのチャットで@を付けて呼びかけると反応し、テナントの中で自分専用のID、記憶、コンピューター、作業場所を持つと説明されています。社員と同じように専用のアカウントと作業用のパソコン環境を与えられる、というイメージです。権限設定と監査(誰が何をしたかの記録)も付きます。
時期は、9月末から非公開プレビューに広げると発表されています。誰でもすぐ使える段階ではありません。
なお、GitHub Copilot CLIにも「autopilot」という名前の機能がありますが、こちらはエンジニア向けの別物です。検索するときに混ざるので注意してください。
Q5 Codeはいつ使えるのか
Codeは、Microsoftの先行導入プログラム「Frontier」の参加企業向けに9月末から展開し、その後の数週間で広く使えるようにする予定です。Microsoft 365 PremiumとProの契約者向けのプレビューは「年内」とされています。
Homeも同じくFrontier向けに、ここから数週間かけて順次展開です。
Q6 料金はどうなるのか
冒頭の情シスの質問への答えがここです。課金は2本立てになります。
USL(ユーザーごとの定額ライセンス) に含まれるのは、Chat、Word・Excel・PowerPoint・Outlook・Teamsの中のCopilot、モデル(答えを作るAIの頭脳。性能の違うものを選べる)の選択、新しい機能やモデルです。モデルを自動で選ぶ「Auto」も含まれます。Homeは画面の名前で、その中のChatは定額、Coworkは次の従量課金側です。
従量課金(使った分だけ払う方式、公式の略称はUBB) になるのは、エージェントが動く仕事です。具体的にはCowork、Code、Autopilot、長時間動く機能、そして上位の最先端モデルです。
つまり、Copilot AutopilotとCodeは定額の範囲外です。社員がCodeでアプリを作るほど、Autopilotが動き続けるほど、請求は増えていきます。
管理側の機能も発表されています。費用ルールの一括管理(API経由)、利用者からのクレジット申請を社内の承認フローに回す設定、利用者グループごとに使えるモデルの系統を絞る設定です。利用者本人も、Copilotの中でクレジットの残高と利用履歴を見られます。
単価は発表時点では示されていません。数字が出るまでは見積もりを作れないので、私は研修先に「試すなら利用者を絞って、上限を先に決めてから」と伝えています。
Q7 Claudeを使っている会社はどう考えればいいか
AnthropicのClaudeにも、仕事を丸ごと任せる「Cowork」があります。名前まで似てきました。
選び方の軸は、データがどこにあるかだと私は考えています。メール、予定、ファイルがMicrosoft 365にまとまっている会社なら、Copilot Autopilotの「テナントの中で動く」は大きな利点です。一方、作ったものを社外に公開するWebアプリにしたい、細かくコードを直したいとなると、Claude Codeのような開発寄りの道具のほうが自由が利きます。
費用の考え方を比べたい場合はこちらも参考になります。
情シスへの返事
最後に、冒頭の質問に私が返した内容を書いておきます。
CodeとAutopilotは従量課金なので、使った分だけ請求が増える。単価はまだ出ていない。だから全社開放は待ち、まず数名で試し、管理画面の費用ルールで上限を決めてから広げる。
作れる道具が増えるのは、非エンジニアが社内で「作る側」に回る入口が広がるという意味で歓迎しています。そのぶん、請求書を見る人が先に仕組みを理解しておく必要がある、という話でした。





