Googleが2026年9月23日、Antigravity SDKでローカルモデルを使えるようにしたと発表しました。
先日、研修の休憩時間に受講者の方とこの話になりました。今回のAntigravity ローカルLLM対応は前提知識が多いので、そのやり取りを整理して会話の形で書きます。聞き手は情報システム部門のAさんです。10月8日時点の公式発表に基づきます。
そもそもローカルLLMって何ですか
Aさん ニュースの見出しの「ローカルLLM」から分からないんですが。
私 LLMは大規模言語モデルのことで、ChatGPTやClaude、Geminiの頭脳にあたる部分です。普段はこれが各社のデータセンターで動いていて、私たちは質問をネット越しに送っています。ローカルLLMは、その頭脳を自分のパソコンの中で動かすやり方です。モデルのファイル(数GBから数十GB)をダウンロードして、手元の計算資源で答えを作らせる。質問も答えもパソコンの外に出ません。代わりに、動かせるモデルの大きさに限りがあるので、賢さは一段落ちると考えておくのが現実的です。
Antigravity SDKで何が変わったんですか
私 AntigravityはGoogleのAI開発ツールで、AIエージェント(指示を受けて自分でファイルを読んだりコマンドを打ったりするAI)が中心にいる作業環境です。SDKは、その同じエージェントの仕組みを、自分のプログラムに組み込むための部品集です。
今回、このSDKの頭脳に手元のモデルを指定できるようになりました。道は2つあります。
1つはGemma 4 26B A4BというGoogleの公開モデルを、Googleの軽量実行の仕組み(LiteRT)で直接動かす道。もう1つは、**OllamaやLM Studio、vLLMのような「OpenAI互換サーバー」**につなぐ道です。
Aさん OpenAI互換サーバーというのは。
私 ローカルモデルを動かして、OpenAIのAPI(プログラム同士がやり取りする窓口)と同じ形で受け答えしてくれるソフトです。事実上の共通の差し込み口で、SDK側では LocalOpenAIAgentConfig という設定を使うと案内されています。
26B A4Bという名前の意味
私 Bは10億(billion)です。モデルの中にある数値(パラメータ)の数で、ざっくり言えば頭脳の大きさです。26Bは約260億個。
A4Bの「A」はactive、つまり1回の計算で実際に動くのは約40億個という意味です。中に専門家役の小部品をたくさん持ち、質問ごとに一部だけを呼び出す作り(Mixture of Experts、MoEと呼びます)なので、大きさのわりに速く動きます。
メモリはどれくらい必要ですか
Aさん うちの会社のノートパソコンで動きますか。
私 公式の目安はVRAMかユニファイドメモリが24GBより多いマシンです。
VRAMは、画像処理用の部品(GPU)が専用に持つメモリです。ユニファイドメモリは、Apple製チップのMacのように、CPU(パソコン全体の計算を担う中心の部品)とGPUが同じメモリを共有する方式のこと。24GBの次の構成が32GBなので、Macなら32GB以上が現実的なラインになります。
Aさん 事務用ノートは16GBくらいです。
私 厳しいと思います。私も以前、メモリ16GBのMacでOllamaに別の中型モデルを載せたことがありますが、答えが返ってくる間ほかのアプリがほとんど動かなくなりました。試すなら、メモリに余裕のある1台を用意したほうがいいです。
オフラインで使う意味はどこにありますか
Aさん 手元で動かす理由は何でしょう。
私 Antigravity ローカルLLM対応の発表で公式が挙げている利点は4つです。
- API費用もレート制限(一定時間あたりの利用回数の上限)もかからない
- コードや依頼内容がパソコンの外に出ないので、データの扱いが厳しい現場に向く
- ネットが不安定な場所、つながらない場所でも動く
- 手元の処理とクラウドの処理を組み合わせられる
4つ目について、発表の例では、コードの点検作業でトークン(AIが処理する文字の単位)の97.2%を手元で処理し、計画を立てる部分だけクラウドのGemini 3.8 Flashに任せています。クラウド側は95トークンで、ソースコードは外に出なかったそうです。
賢さが要る判断だけクラウドに、量の多い単純作業は手元に。社外秘のコードを扱う会社には、これがいちばん現実的な使い方だと思います。
試すとしたら何から
私 公式の手順はこうです。1〜3行目が作業場所づくりと道具の導入、残りがモデルのダウンロードです。
python3 -m venv .venv
source .venv/bin/activate
pip install google-antigravity litert-lm
litert-lm import \
--from-huggingface-repo=litert-community/gemma-4-26B-A4B-it-litert-lm \
gemma-4-26B-A4B-it-gpu.litertlm \
gemma4-26b
あとは公式のサンプルどおり、LiteRTAgentConfig にモデルの置き場所を渡してエージェントを起動します。すでにOllamaを使っているなら、Ollamaが手元で開く窓口(既定では http://localhost:11434/v1。localhostは自分のパソコン自身を指す住所で、外には出ません)を LocalOpenAIAgentConfig で指定する形になります。
Aさん プログラムを書かないと使えないんですね。
私 はい、今回はSDK、つまり開発者向けの部品の話です。画面から使うアプリで同じことができるとは書かれていません。
Claude Codeでも同じことはできますか
私 Claude CodeでもOllamaやLM Studio経由でローカルモデルを使えます。手順は過去記事にあります。
Codex(OpenAIのAI開発ツール)にも同様の仕組みがあります。Antigravity ローカルLLM対応で、主要なAIエージェントの道具はほぼ全部が「手元のモデルも使える」側に揃いました。
試すなら、社外秘を扱う部署でまず1台。そこで速度と精度が業務に足りるかを見るのが近道です。





